ヴィンランドサガのトルフィンがおのれを振り返る。
トルフィン「思えばアシェラッドに父親を殺されたとき、俺は俺を人質に取られたとき、父親が殺されると確信したね。俺が父親を見たとき、川だった素粒子が物質化した。万物は素粒子で出来ている。素粒子は観察されると川から粒に変わるんだ。つまり川のように流れるだけだった液体の素粒子が物質化されたということだ。素粒子は観察者に観察された通りに物質化する。観察とは、分かりやすく言うならなにか特定の物事について意識を向けるとき既に自分の意見は誰もが持っていてその通りにその物事に対する対応を決め実行する。これは潜在意識(無意識)の感情や思い込みが既に決定されていて特定の物事を既に意識を向ける前から観察していたということだ。アシェラッドを殺害して恨みと復讐を果たし名誉を取り戻す。俺の人生に対する観察の仕方は既に決定していた。顕在意識の感情と潜在意識の感情はつながっている。俺は最初からアシェラッドを殺害できるとは思っていなかった。良くてアシェラッド達の奴隷から成り上がりアシェラッドを殺害すると思い込み顕在意識の感情でもそう思っていた。顕在意識の感情から潜在意識に感情が送り込まれそれが潜在意識の感情として現実化される。液体だった素粒子が物質化する瞬間さ。万物の状態を決定するのは後もう一つ、それは思い込みだ。思い込みが叶うとはつまり夢が叶うということである。そして俺が俺の人生の未来に対して顕在意識で抱いていた感情は潜在意識感情がいだく感情となりそれが現実化した。観察者に観察されると素粒子は液体から物質に変わるとはそういう意味だ。例えば人間関係だ。対象aに対して十人それぞれの決定されている潜在意識の感情がある。思い込みもだ。それは既に素粒子が物質になっているということだ。それぞれ異なる顕在意識の感情や(顕在意識の感情=潜在意識の感情。顕在意識の感情が潜在意識に送り込まれ潜在意識の感情となる。潜在意識の感情が叶う)思い込みから対象aを観察している。結果はそれぞれの顕在意識の感情(潜在意識の感情)や思い込みにより対象aの振舞もそれぞれ変わる。素粒子は観察者の観察通り(顕在意識の感情=潜在意識の感情、思い込み)に形を変える」
エイナル「俺は俺の人生を俺の観察した通りに生きているのか」
トルフィン「そういうことさ。その後、アシェラッドにアゴで使われる日々。いつかアシェラッドを殺害するという決意。だが現実は思うようにはいかなかった。人を殺す者はいつか人に殺されるものだ。それにこの旅は一筋縄でいくと思っていなかった」エイナル「強敵は?」トルフィン「それがトルケルさ。とんでもなく強かった。俺が顕在意識で感じ(潜在意識でもそれが伝わり潜在意識でも感じていた感情)絶対に出会うと思い込んでもいた、いつか出会う強敵。それがトルケルそのものだったのさ」エイナル「自分はアシェラッドを殺せないと思っていたのか?」トルフィン「アシェラッドにはいつか本当にいつか勝てると思っていた。だけど過酷な旅の中で誰かがアシェラッドを殺すと何となく感じていた。それが今思えば潜在意識でいだいている感情で思い込みでもあった。元々あのクヌートが死ぬわけがないと思っていた。俺の父親は残酷な戦士ではなかったし家族も故郷も優しかったから潜在意識の感情も思い込みもクヌートは死ぬわけがないと感じ思い込んでいた。無口で頼りない王子。だがこういう男が天下をとると」エイナル「信じられねえな。奴隷になったのも想定済みか?」トルフィン「生きていくためにはという意味では。アシェラッドが死んだら食うのにも困るしそうなったら奴隷になり食いつないでいくんだろうなと。これも潜在意識の感情や思い込みからそう感じ思い込んでいた。つまりこれが特定の物事に対して観察者が観察して素粒子が液体から物質になるということだ。観察とは」エイナル「潜在意識の感情と思い込み。観察者が観察した通りに特定の物事は状態や結果を決定する」
トルフィン「そう、その通りだ。そして農場で奴隷として雇われ労働を開始した。でも過去が過去だから」エイナル「戦士としての自覚を思い出す。泣いたり笑ったり。そして故郷に戻ると。何故なら多くの経験から楽園をつくろうと自覚したからだ」トルフィン「その通りだ。それらも全て俺の潜在意識の感情や思い込みの通りに展開された。俺が素粒子を観察して物質にしたということだ。俺がエイナルを嫌いになり無視しようと決めたらエイナルに対する俺の潜在意識の感情も俺の思い込みもそうなる」エイナル「俺はトルフィンを嫌う。はっ、そうか。これが観察者の観察した通りの現実が創造されるということか。液体だった素粒子が物質になる瞬間だ」レイフ「そうか……」ヘルガ「なるほどね」ユルヴァ「難しいわ」トルフィン「それが姉さんの潜在意識の感情や思い込みが物質になった瞬間さ。素粒子が物質になった瞬間さ。人はふとした時に特定の物事に対し瞬間的に態度表明するもの。それはつまり既に潜在意識の感情思い込みから特定の物事を観察する時に受け取る結果を決定していたということ。つまり特定の物事を観察するときにいだく潜在意識の感情や思い込みが現実化する、し続けるということさ。姉さんに無縁なことということさ」ユルヴァ「それはそうだけど。よくわかったわね。そうさ、私には無縁なことさ。素粒子も願望実現もね」エイナル「それじゃあ新天地に行く話を」ヘルガ「いってらっしゃい」レイフ「ワシの力が必要じゃな」エイナル「はい!」トルフィン「行こう、新天地へ」エイナル「もちろんだ」